全ての工程を全員で行う「みんなで作るお酒です」
「映える」扉とレトロモダンな風情
酒蔵観光のランドマーク「西条本町歴史広場」の隣に位置する西條鶴醸造。「西條鶴」の白文字が踊る木製の大きな扉は、写真映えするスポットとして人気です。
酒蔵に一歩入ると、レンガ敷きの床やステンドグラスの入ったドアなど、レトロモダンな雰囲気に包まれます。
いち早くプレミアムな酒を造り、ブームの先駆けとなった西條鶴。
出迎えてくれたのは、伊野本真彦支配人です。
良い酒を造り、買ってもらいたい
全国の酒造会社が酒の品質を競う清酒品評会やコンクール。
プレミアムという概念などない1975(昭和50)年に、西條鶴は神髄を商品化しました。
特別なお客様への手土産やおもてなし用というコンセプトでしたが、一升が10000円という価格は、当時驚きをもって迎えられました。
「当時の二級・一級・特級という等級を超えたプレミアムな酒ができたので、飲んでいただきたいと思い売り始めたんですよ」と伊野本さんは振り返ります。
金賞のためではなく、お客様のため
神髄の知名度を決定づけたのが、1999年以降のモンドセレクション連続金賞でした。
「良いものを探そう」という欧州の食品基準に合致した結果です。しかし単に「良いもの」を出品しているのではありません。
伊野本さんは「日本の皆さんにおいしいと思っていただけるものを醸したい。
杜氏の技を問う、金賞を獲るためのものではなく、お客様においしいと思っていただけるもの。
それをコンクール向けに出しているだけです」と力を込めます。
結束力が強み ワンチームの酒蔵
伊野本さん曰く「西條鶴は酒蔵通りで一番規模の小さい酒造場」。
自身も冬場には酒造りに入ります。工程ごとに分業するのではなく、全員で酒造りを行うのが特徴。
「手が足りないときは、パートさんも蔵の中に入ります。
みんなで酒粕を剥がしますし、みんなで瓶詰めも片付けもします。ワンチームですよ」と笑う伊野本さん。
「この規模の蔵だからこそできることを極めていく」と誓っています。