パワーの源は「みんな」人と地域をつなぐ酒造り
西条酒蔵通りの、東の起点となる賀茂泉酒造。
通りに面した趣のある酒蔵は、格子付きの窓が印象的で、昼と夜で全く違う雰囲気を演出します。
レトロな洋館を改修したのが、休憩&試飲ができる「酒泉館」。酒スイーツやきき酒セットなどを味わったら、併設するお酒図書館で酒の知識を学んだり、お酒ショップで限定酒を購入したりできます。
純米醸造の再開と産地の整備に尽力
戦前戦後の物資不足の日本では、米と米麹による酒造りができない時期がありました。
賀茂泉2代目、前垣壽三さんが、再び本来の米と米麹だけの酒造りを復活させようと全国の酒蔵に働きかけ、「純粋日本酒協会」を設立し、苦労の末、1972年に「無添加清酒 本仕込 賀茂泉」を醸造しました
3代目の寿男さんは、同協会代表幹事、西条酒造協会理事長として純米酒の普及啓蒙と西条酒の発展に尽力。これらの歴史が「純米酒醸造のパイオニア」といわれるゆえんです。
良い水、良い米、みんなの酒造り
賀茂泉は西条の蔵元と共に、酒米農家、行政、JAとともに、東広島での酒米「山田錦」の産地化にも尽力。仕込み水の水源である森林、里山の環境を守る活動「西条・山と水の環境機構」の活動にも熱心に取り組んでいます。
「良い水、良い水で育つ良い米。それらを使って、みんなで酒造りをしているから酒どころ西条なんですよ」と話す4代目、寿宏さん。東広島市造賀地区の山田錦を使った酒造りも、「みんなが買うから産地も育つ、年を追うごとに、他の地域に負けない良い米がとれる」と、まちぐるみのパワーを強調します。
地域とともに お客様とともに
約20年前、「酒蔵を訪れた人が休憩する場所がない」と考え、いち早く休憩所を設置したのも賀茂泉でした。
「駅から一番遠い所まで来てもらったのだから、ゆっくり休んで、試飲もしてもらおう」と「酒泉館」をオープンしたのです。
「地域ぐるみ」「みんなで酒づくり」を大切にする賀茂泉が、最も大切にしている酒が「賀茂泉 朱泉 本仕込」。これからも賀茂泉は、日本酒本来の純米醸造を受け継ぎながら、地域と共に歩んでいきます。